私たち薬剤師が患者さんにお薬を渡すことを「投薬」と言います。

「投薬」、薬を投げると書くのでとても乱暴な感じがします。

ところが、この言葉はお釈迦様に関係しています。

お釈迦様が沙羅双樹の樹のもとで入滅される（亡くなられる）とき、天にいる母の摩耶夫人がお釈迦様を助けようと天上から薬を投げました。残念ながら薬は沙羅双樹の樹の枝に引っかかってしまいお釈迦様には届きませんでしたが。

この様子は涅槃図にも書かれています。

このことが「投薬」の語源となっており、「投」には母の愛情が込められています。

この語源を知るまでは「投薬」という言葉をできるだけ使わないようにしてきましたが、語源を知ってからは少し気持ちが変わりました。

ただし知らない方も多いので、やはりあまり使わないようにはしています。