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水足店ブログ 嚥下③嚥下障害の治療方法とは?
更新日:2023年03月01日
嚥下障害の治療方法には、リハビリと手術があります。重度の嚥下障害の場合は手術を行いますが、高齢者の場合はリハビリによる改善を目指すことがほとんどです。リハビリには間接訓練と直接訓練があり、食べ物を使わない間接訓練から開始し、回復状況を見ながら直接訓練を増やしていくのが一般的です。リハビリの治療内容、手術についてご紹介します。
1.リハビリ
【間接訓練】
嚥下機能の回復を目的とし、食べ物を使わずに間接的に行う舌や口のトレーニングを間接訓練といいます。
●リラクゼーション
首や肩周辺の筋肉が固くなっている、体に力が入っているなどの場合に誤嚥しやすくなります。上半身を中心にストレッチを行い、肩や首を回すなどして体をリラックスさせることで回復を目指します。腕を左右に大きく広げたり、深呼吸をするのも効果的です。
●口唇・舌・頰の訓練
頰を膨らませる、舌をベーっと出すなど口唇、舌、頬を動かして口周りの筋肉の動きをスムーズにし、筋力強化を図ることで回復を目指します。
●感覚向上訓練
凍らせた綿棒に水をつけて口腔内を程よく刺激するアイスマッサージを行うなど、口腔の感覚をよくする訓練です。食べ物を飲み込むとき、反射的に器官を閉じる嚥下反射を誘発させることを目指します。
●嚥下反射促通手技
嚥下に関わるあごから下の筋肉をマッサージして刺激し、嚥下運動を促進させるための訓練です。直接訓練の際に口の中に食べ物が残っていてうまく飲み込めないときにも行う方法です。
●呼吸訓練
痰や食べ物が喉や気管に入ったとき、しっかり咳をして排出できるよう呼吸に使う筋力を鍛える訓練です。腹式呼吸の練習を行うと、呼吸機能が高められます。
●発声訓練
大きな声で「パ・タ・カ・ラ」の4音を繰り返し発声します。この4音を発声するときには食べ物を飲み込むときと同じ器官を使います。嚥下に関わる器官を動かし、筋力アップや喉、舌のスムーズな動きを目指します。
【直接訓練】
実際に食べ物を使って行うトレーニングを直接訓練といいます。丸飲みできるゼリーなどのやわらかいものから始め、段階的に通常の食事へシフトしていきます。
●食品の調整
障害のレベルと本人の好みに応じて、とろみ調整食品やゼリー状食品などを用いたり、ミキサーにかけるなどして食品の形状や柔らかさを調整します。
●交互嚥下
パサつく食べ物の後にとろみのあるゼリーを食べるなど、形状の異なる食品を交互に摂取します。これを繰り返すことで、食べ物が口の中や咽頭に残りにくくなります。
●複数回嚥下
ひと口の食べ物を複数回に分けて飲み込むことで口の中や喉に食べ物が残るのを防ぎます。
2.手術
手術は大きく分けて嚥下機能改善手術と誤嚥防止術の2つに分けられます。嚥下機能改善手術は誤嚥をなるべく減らし、口から食事できるようにする手術です。
食事をとるためには手術だけでなく、術後のリハビリを行う必要があります。嚥下機能改善手術後、嚥下機能の回復が見られない場合は食道と気道を分離する誤嚥防止術が行われることがあります。しかしこの手術によって発声機能が失われるリスクがあるため、嚥下機能改善手術には慎重な判断が求められます。
次回は、予防方法についてご紹介します。
参照:フランスベッド メディカル営業推進部