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水足店ブログ 嚥下② 摂食嚥下障害の原因は何か?

更新日:2022年11月01日

摂食嚥下障害の原因は何か?

 一般的に、摂食・嚥下障害は単独で引き起こされるものではありません。摂食嚥下に必要な器官の機能が低下することによって起こる場合や、何かしらの病気に合併する形で起こることがあります。

摂食嚥下障害となる原因は、大きく3つに分類することができます。

 

☆摂食嚥下障害の原因その1 形態的(解剖学的)な異常

形態的な異常とは、口腔、咽頭、食道などの、摂食嚥下のために必要な器官の解剖学的な構造の異常のことで、食塊の通り道に障害物がある、あるいは食塊の通り道が正常ではない形状となっている状態をいいます。疾患の例で言えば、先天的なものと後天的なものが挙げられます。

  • 先天的:口蓋裂や、その他の原因による顎の形成不全がある場合
  • 後天的:舌癌や咽頭癌などの口腔・咽頭の腫瘍による場合や、術後の障害が原因となる場合が多い

例えば、既往歴に舌癌がある場合、手術によって舌を切除したことで、舌の運動障害を生じます。すると、食塊を口腔内から咽頭へ送り込むことが、難しくなります。この状態は、摂食嚥下障害の分類でいう口腔期の障害が起こっていることになります。また、既往歴に咽頭癌がある場合、手術によって舌根部や咽頭後壁を切除していることにより、咽頭内に送り込まれた食塊を一気に食道へと押し込むために必要な咽頭内圧が低下してしまいます。すると、嚥下をしても食塊が咽頭に残ってしまいます。これは、摂食嚥下の分類でいう咽頭期に障害が起こっていることになります。いずれの場合でも、手術による切除範囲が広くなるほど、摂食嚥下障害が重度になる傾向にあります。

さらに、高齢者の場合は、むし歯などにより歯が抜け落ちてしまうことも、摂食嚥下障害の原因となります。差し歯や入れ歯などで、歯のかみ合わせがしっかりできていれば良いのですが、入れ歯が合わない、しっかりと奥歯で噛みしめることが出来ない、などの場合も、摂食嚥下障害を起こします。

☆摂食嚥下障害の原因その2 神経・筋系の異常  

神経・筋系の異常により、機能的な障害が起こります。これは、口腔や咽頭、食道などの摂食嚥下に必要な器官の構造が正常であっても、それらの器管の運動に問題があるため、食塊を上手く送り出せない状態のことです。

原因疾患としては、次のようなものがあります。

  • 脳血管障害
  • 筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン病などの神経変性疾患
  • 多発性硬化症、脳炎、脳腫瘍、脳性まひ、外傷性脳損傷、筋ジストロフィー、重症筋無力症、多発性筋炎などの脳神経系の障害

特に脳血管障害の急性期には、全患者の3割以上に、摂食嚥下障害がみられるといわれています。多くの場合、治療やリハビリテーションの効果が得られれば、1ヵ月くらいするとある程度の改善が期待できます。しかし、残念ながら改善がみられないケースもあります。

☆摂食嚥下障害の原因その3 加齢の影響

加齢に伴う機能低下により、摂食・嚥下に必要な機能が低下してきます。

例えば、咳の反射が低下することで、むせるという反射が起こりにくくなり、誤嚥に気づかなくなってきます。むし歯などにより歯の数が減少する、あるいは歯(義歯を含む)の咬み合わせが合わないときも、食物をかみ砕くことが難しくなるため、適度なサイズの食塊を形成することが難しくなります。嚥下反射も徐々に衰えてきます。

また、高齢者は疾患をいくつも併発している場合が多く、それらの疾患によって薬剤を服用している場合、薬剤の影響も摂食嚥下障害に大きく関係します。例えば、抗コリン薬や抗ヒスタミン薬を内服している場合は、唾液分泌が抑制されてしまいます。また、抗てんかん薬や抗精神薬は、嚥下反射を抑制する可能性があります。

さらに、高齢になると小さな脳梗塞が増えてくることがありますし、神経や筋を動かす仕組みのバランスが崩れることもあり、摂食嚥下障害を起こしやすくなります(表)。

表:嚥下障害の要因となる加齢による変化1)より作成

分類

変化

形態的な変化

  • 自分の歯が少なくなる
  • のど仏の位置が下がる
  • 唾液が少なくなる

機能的な変化

  • 飲み込みの反射が遅くなる
  • むせの反射が出にくくなり、むせの勢いが弱くなる
  • 飲み込む時に、のど仏の上がる量が減る
  • 食べることに集中できなくなる

 

次回は、診断、治療法などをご紹介します。

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